いつもでコッコ日和 第4号

オス不要論に異議を唱えます(^_^;)

 ものごとにはひとつの面があれば、そこからは見えないもう一つの面があり、一面からだけでは良し悪しを一概に判断することはできない、あとは何を重視するかで個々に判断していくしかない…と思います。いきなり抽象的な始まりになりましたが、今回はCOCCO相木で雄鶏を飼育している理由について書いていきたいと思います。

 平飼いや放し飼いなどのいわゆる自然養鶏を営んでいる養鶏場では自分たちで安全な飼料を配合し緑餌を多給する、ワクチンや薬剤に頼らない育雛をする、など共通点がありますが、大きく異なっているのが雄鶏を一緒に飼育するか否か、という点です。

 雄鶏を導入しない養鶏場の主な理由として、①雌鶏が傷つきやすい、②卵が傷みやすい、③雄鶏同士の喧嘩で集団が乱れやすい、④そもそも有精卵に栄養価でのメリットがない、⑤卵を産まないのに餌代がかかる、などがあげられます。

 ①交尾する際、雄鶏は雌鶏の後頭部をくちばしで、足で羽の付け根をそれぞれおさえます。なので雌鶏の後頭部がはげ、羽の付け根が傷みます。②ニワトリの有精卵の孵化に最適な温度は37.5℃、日数は21日と言われていますが、25℃以上で貯卵(卵の保管)すると孵卵が始まるといわれています。つまり食卵としては劣化が始まるのです。③雄鶏を複数羽飼育すると、縄張り争いによる喧嘩が発生します。これにより集団が乱れるという考えもあります。④有精卵が成分的に栄養価が高いという検査結果はありません。⑤餌代は馬鹿になりません。

 ではなぜCOCCO相木では雄鶏も一緒に飼育するのか。「生命力の強い卵は元気な鶏から」そして「元気な鶏は自然な環境から」生まれると考えるからです。養鶏自体は人が行うもので自然=野生とは本来相反するものですが、それを前提とした上で、鶏がなるべく鶏本来の習性や本能を尊重した暮らし方ができるようお手伝いすること、それがCOCCO相木が考える自然養鶏です。

 とは言え、②卵が傷みやすい、のは心配です。貯卵には10℃~15℃が最適とされていて、この温度では孵卵開始による食卵としての劣化はかなり抑えられます。つまり保存方法に気を付ければ有精卵によるデメリットはかなり解消できるのです。

 ちなみに0℃近い低温で貯卵すると胚が死滅するとされています。その点から考えると冷蔵庫での保管はあまり望ましくないのですが、適温の範囲内での保管が難しいこと、温度変化も保存には良くないことなどを総合的に考えると「冷蔵庫(10℃以下)で保存して下さい」と書かざるを得ないのですが。COCCO相木のある北相木村では冬場は日中でも氷点下の日がありますが、コッコ達は産んだ直後から抱卵するわけではないので、そのような場合、きちんと孵化するのか、いろいろギモンは残ります。これについては今後の研究課題としたいと思います(^_^;)。

 集団の中での雄鶏の役割についてですが、COCCO相木のオスを見る限り、彼らは集団の安全を守るためにかなり頑張っています。餌やりの際、メスは真っ先に餌に飛びつきますが、オスは集団の後ろからしばらく様子を見ています。餌の食べ方が下手だなとはじめは思っていましたが、どうやらしばらく様子を見て集団の安全を確認してから食べ始めているような感じです。日中、外で地面を啄んでいる時でも、オスだけは頻繁に顔を上げて周囲を見回しています。何か危険を感じた時も、危険を知らせる鳴き声をはじめに上げるのはオスです。1年目のオスは穏やかな性格ですが、鶏舎が動物に襲われたことある2年目のオスはかなり気を張っていて見慣れない人が敷地内に入ると攻撃をしてきます。オスはオスなりに涙ぐましい努力をしている…と個人的には思います。

 交尾の際に後頭部をくちばしでおさえ、羽を爪でおさえるのは鶏の体の構造上仕方のないことで、よく見ていると大抵の場合、オスが後ろに回ると、メスは身をかがめて交尾を受け入れる体勢になっています。もちろんすべてのことに例外はあり、たまに嫌がるメスを追い掛け回し無理矢理交尾しているオスもいますが…(^_^;)。こういったオスは順位の低いオスです。

 ちなみにオスのいない集団ではメスの中からその集団のリーダーが現れ、メスのオス化現象が生じます。人間社会では性差のボーダーレス化が時代の流れですが、鶏社会ではあまりいいことではないと個人的には思っています。

 以上のような理由から、COCCO相木では雄を導入しています。数値では現れない、心理的なメリットがあるように、どうしても思えるのです。個人的な抗いかも知れませんが。自然養鶏の父の一人とも言われている中島正氏は雄を一緒に飼育することに消極的ですが、COCCO相木ではオス不要論に異議を唱えていきたいと思っています。